2013年3月3日日曜日

シドニーの飲食店事情

最近、ひょんなことからシドニーの飲食店経営を調べることになった。

日本のレストランがシドニーで店を出したいということで、マーケット調査を一緒にやった。

シドニーでもニューヨークやロンドンなどの大都市と同じく日本食はブームで、すしだけではなく、最近はラーメン、餃子も人気が出てきている。

昨年の12月6日に「一風堂」がシドニーで開店し、連日大勢のお客さんが入っている。

客の多くはオージー(オーストラリア人の愛称)だ。

一つだけ大きな問題を見つけた。

パート労働者の法定最低賃金が恐ろし高く、最低でも$16(1600円)支払わなければならない。

日本の倍ほどの値段だ。

オーストラリアはかつてイギリスの犯罪者の流刑地であったということもあり、貴族や身分制とは無縁で、労働者、ブルーカラーが幅を利かせている伝統があり、現在の与党も労働党で、その影響もあってかこのような高い賃金設定になっている。

つまり、マクドナルドで大学生のアルバイトが働いてもこのような高賃金がもらえる。

逆にこの高い賃金が小さい規模の会社、レストランの経営を圧迫する。

正直今回の調査でしみじみわかったのは、オーストラリアでは、非常に大手になるか、さもなくば個人経営でいくしかないということだ。

中途半端な人数では、賃金だけでなく、税金や保険料ものしかかり、経営を破滅の道に導くことになる。

またレストランや他の飲食店のほとんどは個人経営か、大手の場合はフランチャイズになる。

なぜ大手がフランチャイズをするかというと、先ほどの賃金の問題がまずあり、レストランによっては、正規の法定最低賃金を払わずごまかしているところもある。

またオージー気質というか、日本のように会社に忠誠を誓うという人は皆無にひとしく、個人主義者の集まりであるから、自分がオーナーにならない限り真面目に働くという気になれないらしい。

つまり、フランチャイズにすると、労務管理をすべてフランチャイズオーナーに任せることができるということでオーストラリアではこのシステムが当たり前のようになっている。

ただフランチャイズの仕組みを作るのに一説では日本円で1億円ともいわれており、弁護士の料金が恐ろしく高いのも一因である。

まあ、シドニーで商売するのは、生半可なことではうまくいかないというのが今回の結論である。